Progress of graf

あなたと同じ日、同じ季節。私たちはあなたと同じように暮らしながら、
新鮮な発見や驚きを素にgrafをつくっています。

2013.12.26

ここのひとと

graf代表の服部滋樹が特別客員教授を勤める名古屋芸術大学デザイン学科。今年同科で服部が担当していた授業では、学生たちが大学周辺に暮らす人たちの“日常”をフィールドワークをして調査し、その成果発表としてドキュメント映像「ここのひとと」を制作しました。この映像作品は地域の住民の方を招いた上映会で公開され、その様子は大学と地域を繋げたデザインプロジェクトとして新聞などでも取り上げられました。今、変化しつつあるデザインの役割やその可能性。それを実践したとも言えるこの取り組みはどのように進められ、関わった学生の皆さんにはどのような手応えと変化をもたらしたのでしょうか。先日grafにやってきた同学科の学生、講師の方たちにお話を伺いました。


写真右:水内智英さん

「ドキュメント映像の“ここのひとと”は、2012年に服部さんと取り組んだ特別授業である晩餐会プロジェクト“土と人のデザインプロジェクト – ゼロから晩餐会をデザインする –”が伏線になっています。そのプロジェクトでは、晩餐会をするために地域の素材や魅力などの資源を調べ、地域に「あるもの」と「ないもの」を調査しました。あるものから晩餐会のための何かをつくり、ないものは自分たちでつくる。地域の人たちとコミュニケーションを図ることを目的に、あるひとつの場をつくるということがこの晩餐会のテーマでした。その活動記録として映像を撮っていたのですが、今回は映像をつくることそのものがプロジェクトになったという感じです(講師:水内智英さん)」。

名古屋芸大デザイン学部「土と人のデザインプロジェクト - ゼロから晩餐会をデザインする」 from Lifestyle design, NUA on Vimeo.

この晩餐会のプロジェクトを通じて「人こそが資源」ということに気が付いた学生さんたちは、地域に住む人たちにどんどん興味が湧いていったそうです。再び大学を飛び出し周辺の住民の方たちの元を訪れます。「ここのひとと」では日常に焦点が当てられた、さまざまな職業の人たちが登場します。主人公となった地域住民の方たちは、学生たちの質問に対して自身の仕事のことや個人的な考え、生き方などを赤裸々に語っています。


画像:ここのひととのワンシーン

「はじめは地域の皆さん方の普段の生活やお仕事をしている時間に、私たちがどこまで立ち入って良いのかがわからず毎回緊張していたのですが、機会を重ねるうちに自然とその地域にいる方のほうから話しかけられるようになっていきました。お陰でこういったフィールドワークが特別な行為ではなく私の普段の生活に馴染んできた気がしています。北名古屋市に住んでいるんだな、と実感することができるし、私生活も心も満たされていると感じます。いろんなところで顔も覚えてくださっているのでうれしいです(末竹汐里さん)」


末竹汐里さん

晩餐会のプロジェクト、ドキュメント「ここのひとと」は、大学と地域の方たちが協同でつくりあげていったプロジェクトだと言えます。これまでにも地域と大学が連動した活動はあったそうですが、今回の取り組みとの違いはそれぞれの関係性の中から見つけたものが自然と形になっていったことのように感じます。

「これまで大学で、このような形で積極的に地域の方たちと関わるプロジェクトを実施したことは少なかったように思います。そもそも周辺の方たちにとって我々大学側が何をしているのかがわからないという状況もありましたので、お互いにコミュニケーションの取り方がわからなかったのかもしれません。今回は地域の方に直接お会いしてお話をお聞きしたことが、お話いただいた方たちに我々のことを理解してもらえるきっかけになったのではないでしょうか(講師:水内智英さん)」

映像を見ていると、地域の方たちの自然な表情から学生の皆さんの苦労や努力、地域の方たちと築いた信頼関係が伝わってきます。自分が関わっている地域のことを知ることは、学生たちが思っていたデザインに対する考えとどのように繋がっていったのでしょう。


写真左:稲垣美帆さん 右:社本真里さん

「私は立体物や平面のものをつくることだけでなく、何かが形になるまでの過程をデザインだと考えていています。一人では何かをつくることができないということはわかっていたつもりでしたが、改めて人との繋がりがないと何も出来ないのだということを実感しました(稲垣美帆さん)」
「つくった映像から“人”がそのまま伝わってきたことがおもしろかったです。その人たちの雰囲気、喋り方、表情などから、地域のこともよくわかりました。人ほど説得力があるものは無いですね、人と接して何かをつくり出すことに対して興味が湧きました(社本真里さん)」

撮影から編集までの全てを学生の皆さんが担当した「ここのひとと」。映像の撮り方だけでなく編集を踏まえた撮影のポイントを特別講師の方に手ほどきしてもらいながら制作したとのことです。編集中に必要な映像が足りないとわかれば、何度でも撮影をしに行きインタビューを繰り返し、お話をする機会を重ねるたびにその関係性は築かれて行きました。
土(地域)と人に触れたデザインプロジェクトはこれからも続いていきます。来年1月にはウェブサイトも立ち上げる予定とのことで、このプロジェクトがどのような発展をしていくかとてもたのしみです。名古屋芸術大学デザイン学科の皆さんの今後に、私たちはこれからも注目していきたいと思います。




小坂逸雄(PR)

2013.12.07

木のスプーンづくり at ふくやま美術館



11月23日(土)にふくやま美術館にて開催されていた特別展「観じる民藝 尾久彰三コレクション」の関連イベントとして、スプーンづくりのワークショップを開催させていただきました。各地で開催されているワークショップは「つくってわかる?ツールのルーツ!」と題して、スプーンやナイフ、器などを参加者の皆さんに製作していただいてます。つくるたのしさを伝える機会としてはもちろんですが、もう一つの目的としては、普段使っている道具が「なぜそういう形をしているのか」を考えながらつくってみるところにあったりします。 持った時の手への馴染み具合や、道具を握りしめたときに手のどこに力が入っているか、スプーンならばすくう部分の深さやその角度、スプーンを口に含んだときの丸みなどと、あまり気にしなかったであろうことを改めて観察してみることで、道具そのものにも興味や関心が生まれてくるし、つくるものの形にもしっかりとした理由や目的などができると考えているからです。とはいえ、やっぱりたのしんでつくってもらうことが一番なので、別に内容的にはアカデミックに偏っているわけではないのですが。



写真右側のような角材を切って、削って、やすって、塗装までおこないます。左側は参加者の方がつくったスプーンです。とてもすてきな佇まい。つくられたモノは、つくった方の雰囲気をまとっているように見えるから不思議です。塗装までの所要時間は、毎回なんだかんだで4時間くらいかかってしまいます。長時間なのにも関わらず、皆さんの集中力には毎回感心してしまいます。



今回参加された方の中に、ご自身が気に入って使っているというスプーンを持参された方がいらっしゃいました。丁寧に鉛筆で下書きをして切り出し、ノミ、小刀、やすりをつかって慎重につくっていました。楽器を練習するときも楽譜を見て、曲にあわせて演奏して技術を高めたり技法を知ったりしていくし、スプーンをコピーするというのはおもしろい方法だと思いました。





形の話だけでなく、木を削ってみると、堅いところやそうでないところ、木目の流れる向きで刃の入り方が違ったりと、意外といろんな発見が多いかと思います。素材に実際に触れてつくってみることで得た気付きから、身の回りのものの見方にもうひとつの視点が加わったのだとしたら、ワークショップをした僕たちの意義としてとてもうれしいです。

今回もまたたくさんの方にご参加いただきました。ありがとうございました。わきあいあいとした雰囲気でとてもたのしかったです。ふくやま美術館の平泉さん、羽原さん、関係者の皆さま、たいへんお世話になりました。またぜひ福山に遊びに(仕事です)行きたいです。講師を勤めた手塚くん、稲毛くんもおつかれさまでした。

小坂逸雄(PR)






2013.12.02

木のスプーンづくり in 豊中市(大阪)



grafのラボスタッフ(家具職人)たちによる「木のスプーンづくり」のワークショップを、先日開催されたとよなか産業フェア内にて行いました。ちょうど一年前に家具工場を豊中市に移転し、新参者として地域との関わり方を探っているところだった私たちにとっては、とてもよい機会でした。木のスプーンをつくるワークショップは、「つくってわかる?ツールのルーツ!」と題して各地で開催していますが、今回は晴れて地元での開催と相成りました。



講師を勤めた手塚くんが発した「今回は市販されていないような激しいモノをつくってみましょう」という意外でナイスなひと言で、参加者のリミッターが外れたのでしょうか。皆さん大胆な形に挑んでいました。今回は作業時間や対象年齢の関係で、スプーンのすくう部分はあらかじめラボスタッフたちが下準備をし、参加者の方には主に持ち手の部分を加工してもらう形で進めましたが、それでも思うように削ることができない木の扱いに皆さん悪戦苦闘。しかし祈るように木を削る姿は修行僧のようで圧巻でした。



「つくったスプーンでなに食べるの?」「カレーっ!」「シチューっ!」(声デカっ)。自分でつくったスプーンで食べる料理は最高においしいと思うよ。そしておいしかったらお母さんにお礼のスプーンをつくってあげてね。やっぱりつくるからには目的がないとね。

ということで、grafの家具工場は豊中市にございます。来年のワークショップ開催計画も徐々に進めていますので、その時は皆さまどうぞよろしくお願いいたします。

小坂逸雄(PR)