Progress of graf

あなたと同じ日、同じ季節。私たちはあなたと同じように暮らしながら、
新鮮な発見や驚きを素にgrafをつくっています。

2013.09.26

ロケットメイキング

9月14,15,16日と行われたDESIGNEAST04において、graf+yusuke hottaとして昨年に引き続き出店したFANTASTIC TABLE。今年はより参加者に調理を体験してもらうために、ロケットストーブを使いました。ロケットストーブとは、簡単にいうと薪を燃料として効率的に高温の炎を得ることのできる調理器具のことです。


今回使ったロケットストーブは、滋賀県で排気筒等を製造されている「大鋼製作所」で今回のために製作、提供頂いただきました。ロケットストーブそのものだけでなく、その製作の過程がおもしろかったのでご紹介したいと思います。

大鋼製作所では、以前よりロケットストーブを試作されていました。商品化にまでは至っていないその試作機を一台お借りして使ってみたところ、火力は充分。しかし、実際に調理するためには、改善すべき点、追加すべき点が見つかりました。そこで工場にうかががい、改良版に向けてのミーティングを行うことに。この時、DESIGNEASTの10日前。僕たちもどんなことができるのか、全く分からない状態でした。

9月5日(木)、大鋼製作所。

まず代表の有本さんより、普段の仕事のことやロケットストーブを作りはじめたきっかけなどをうかがい、grafメンバーからは試作機を使ってみた感想や改善すべき点などを話しました。その後、時間をかけて工場を案内していただきました。

工場はとてもきれいに整理されていました。


普段じっくり見ることのない排気筒の部品たち。夕日に照らされて輝いていました。


これはエルボー。ステンレスの筒に溝を作って曲げることで製造します。

排気筒のトップ。落ち葉が入らないようにメッシュが取り付けられています。これは何かに使えそう。


この日の後、街中にある排気筒を探してはまじまじと観察してみたのですが、ここで見たものほどきれいなものはまだ見つけていません。

工場を見学させていただいた後で、ミーティングを行い、全員で知恵を出し合います。複雑な作りや時間のかかる工程は極力避け、大鋼製作所で日常的に行われている加工を用いることを前提として、使い勝手の改善と使って楽しいかたちを目指しました。


その場でアイディアをスケッチし、寸法、つくりかたを決めていきます。中華鍋を使うのに適した高さ、五徳の径、簡単には倒れないバランス、燃料となる薪のくべ方、空気調整のしやすさなどなど、、、


何とか形になりそうなところまで煮詰めて、その日は解散。次の日にそれぞれの部品の試作、週明けの月曜日からDESIGNEAST用ストーブの製作にかかっていただきました。
こうしてできあがったロケットストーブ。大鋼製作所による製作の過程で発見されたアイディア、実際に料理を行う堀田さんの意見も加わっています。





でもこれもまだまだプロトタイプ。DESIGNEASTで多くの方に使って頂いたおかげで、充分に使用に耐えうること、さらに改良すべき点が確認できました。これから大鋼製作所と共に、製品化を目指していきます

今回のロケットストーブの製作で、最も可能性を感じたのは、工場と実際に使う人との距離の近さ、意思疎通の速度の早さでした。実際に料理をする堀田さんの意見と、僕らのアイディアがあっという間にかたちになる。もちろんそれは大鋼製作所の技術あってこそなのですが。

いろんな工場がこんなふうに街に開かれて、誰もが「あっ、こんなものが欲しい」と思った時に、まるで街全体が自分自身の工房のようであったなら、日常の中のものづくりとそこから生まれる暮らしがもっともっと楽しくなるのではと思いました。

そんな世界を目指して僕たちに何ができるのか、考えてみたいと思います。


 

(井上/設計)