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人と人とのつながりを大切に考え、モノとその先にある作り手と使い手の想いが出会うきっかけを提供しています。

2013.12.28

インタビュー:LIFE IS JOURNEY! 川内康行・真理

世界中を旅して、訪れた国々で出会った素敵な商品を販売しているオンラインストア「LIFE IS JOURNEY!」。主宰の川内ご夫妻に旅の途中のアルゼンチンへSkypeを繋ぎ、お話を伺いました。たくさんの国を巡り、どのような暮らしに出会ってきたのでしょうか。終始笑い声の絶えない会話からは、旅で得た手応えと生きている歓びが感じられました。



そもそも世界一周旅行に出ようと決めた動機はなんでしょう。

川内真理(以下:真理):私は十代からおぼろげに思っていた夢でした。大学在学中にインドをはじめ東南アジアを旅行したのですが、そのときに世界のことをいろいろ知りたくなったんです。インドでは特に、価値観も生活スタイルも私が知っていたこととは違っていて、いままでの自分がどれだけ狭い世界の中で生きていたのかを思い知らされました。その時から日本に居たままで世界のことを知らないのはもったいないと思うようになりました。
川内康行(以下:康行):僕も同じく、自分が見ていないものが世界にまだまだあるんじゃないかという興味が募って、今に至っています。4年前に真理と一緒に行ったインドが僕のはじめての海外旅行だったのですが、経験したことが無いことばかりで衝撃でした。それまで海外には興味がありませんでした。

具体的にどのようなことが衝撃的だったのですか。
康行:バラナシというヒンドゥー教や仏教の聖地があるんですが、なんというか、死というものが日常の中に普通にあるところなんです。公共施設なのかわかりませんが「死を待つ家」というものがあって、そこでは老人が自分の死を、それこそ「待っている」場所なんです。それまで死を意識しながら生きるということが僕にはありませんでした。
真理:川を死体が流れていて、ガート(沐浴場)では死体が焼かれていて。でも、そういうものを見ても嫌な感じを一切受けなかったんです。死というものはもっとグロテスクなものかと思っていました。

そういった死生観にまつわる衝撃はインドを旅行した人たちからよく聞きますね。旅ということ全般だと「旅」にはどんな魅力があるのでしょうか。
真理:あくまで旅人目線ですが、最初に旅人としてデリーの空港に降り立ってからわけがわからない雑踏に踏み込んでいくときに、ここでもし私が何か事件に巻き込まれても、きっと誰も見つけてくれないだろうなと思ったんです。でも、右に行くのも左に行くのも自分の自由。自分で責任さえ負えば自由な世界だと。旅ってすごい自由だ!って感じたんです。

この世界一周旅行は、真理さんとかはご両親から反対をされたのではないですか。
真理:いろいろなところに旅行に行っていたので、ついに言い出したかって感じでした(笑)。結婚もしたので真面目に生活をしていくものだと思っていたと思うので、何かんがえてるの?とは言われました(笑)
康行:旅に出る直前まで、僕はこの旅に行くべきなのかどうなのかずっと迷っていたんです。仕事のことも生活のことも考えると不安だったけど、でも行きたいという欲求はあるし、真理も同意してくれているし、でも帰ってきてからどうなるんだろうだとか。でも、うちの親が「帰国して仕事がうまく決まらなかったり自分が思っていたようにならなくても、住む家だけはあるから気を大きくしていっておいで」って言ってくれたんです。このひと言はだいぶ心強かったです。
真理:せっかく旅に行くのならば、ただ行って帰ってくるのではなくて、見たもの、感じたものを人に伝えられるようにいろいろ吸収して帰ってきなさい、とも言ってくれました。

それはすごく頼もしいひと言でしたね。その言葉があって、LIFE IS JOURNEYという構想が生まれたのですか。
康行:僕たち二人の間では漠然と話はしていたんですけど、うちの親に言われたこともそうですし、いろんな人にLIFE IS JOURNEYの構想を話していくうちに背中を押されたという感じです。

webショップの立ち上げは出発前でしたっけ。
真理:出発してからです。ある程度、枠組みはつくっていましたけど。

そうして旅がはじまったわけですけど、実際に商品の仕入れで苦労されたことはありましたか。
真理:最初に買い付けをしたネパールでは、わりと順調に進みました。今grafさんで販売してもらっている手袋などは、それを販売しているお店が直接工場を運営していることもあって仕入れのお話がしやすかったです。
康行:つくっている人に会えないとこのプロジェクトは意味がないので、いい商品を見つけても、ただ買い付けるだけになるような仕入れ方はしていません。お店でいい商品を見つけても工場やつくり手にたどり付けないとこともあるで、そこは難しいところですね。

出会った商品にまつわるお話や印象的だったことは何かありますか。
康行:手袋や毛糸のスリッパをつくってくれている工場の支配人の方から聞いたことなんですが、ネパールでは旦那さんが嫁さんや子どもを置いて他の人のところにいってしまうことが多いそうで、シングルマザーとして働いている女性の方が多いそうです。その支配人がその工場をつくったのも、子どもの頃に父親が不在で苦労をされた経験があって、自分の住んでいる地域にいる同じ境遇の女性を助けるために、技術指導をしながら生活支援をしたかったからだそうです。そこでつくられているものがMother Hand Madeシリーズの商品です。
真理:例えば私たちが販売している商品をネパールのお土産物屋さんなどに卸すと、日本円で1円くらいしか払ってもらえないそうなんです。いくら物価が安い国だからとはいえ、それでは到底生活をしていくことはできないので、私たちが適正価格で商品を買うことで間接的ながらも支援をしていけたらな、と考えています。

デザインや柄などはお二人が指定しているのですか。
康行:そうですね、こちらから指定しています。
真理:ある程度、元になっているものはありますが、色や仕様などを指示させてもらいながらつくっています。

LIFE IS JOURNEYは世界の暮らしを追う旅だとも思うのですが、普段の自分たちの暮らしと比べて豊かさを感じた暮らしはありましたか。
真理:地域にもよりますけど、南米のパタゴニアやネパールのヒマラヤ地域などの自然が多いところで感じることなのですが、自然という大きな循環や時間の流れにうまく溶け込んだ生活を送っている人たちが居て、すごくうらやましく思いました。例えばチベットだと、ストーブの燃料がヤクの糞だったりするんですね。無駄がないというか、ゴミを出さずに自分たちの生活を環境に合わせている。自然を愛しているし、毎日見ているはずの山や花がある日常の風景にいつも感動していて。そんなことが日本でできるかはわからないですけど、そういうことにできるだけ近づいた生活をしていきたいと思いましたね。
康行:暮らしとはまた違うかもしれないですけど、時間のつかい方が豊かだということは、どこに行っても思いました。僕がサラリーマンをしていたからかもしれませんが、時間に追われているような感じは誰からも受けなかったですね。
真理:今を生きるって感覚ですかね。今を楽しんでこそ、という考え方が常にあるような印象です。仕事の時間がプライベートの時間を圧迫するような働き方、考え方はまずしていないですね。

そういう感覚はお二人が日本に戻ってきてから、どのように影響すると思いますか。暮らしや仕事に対しての考え方や、大切にしていきたいことも変わったのではないかと思うのですが。
真理:私はイタリアで思ったことなんですけど、イタリアの人って家族との時間をすごく大切にしているんです。親元を離れて暮らしていても週末には実家に帰るだとか。家族を大事に思うことは日本も一緒ですけど、もっと感覚的に一緒に過ごす時間というものを大事にしている印象があります。そういう時間は帰国してから意識的につくっていきたいと思いました。
康行:僕は「今」や「今日」という、一日一日に重きをおいていこうと考えるようになりました。やっぱり旅に出る前は先のことばかり考えていたので、今回の旅で見つけたことはそこもしれません。

お話を伺っていると、時間に対する感覚が変わったんですかね。すごく充実している印象を受けます。
真理:一日がすごく長いですね。でも特に朝早起きになったかというと、そうではないんですけど(笑)。今まですごく便利に暮らしていたんだなと思うのは、テレビもwifiもない、何もないところっていっぱいあるんです。キャンプをするときは特にそうで、トイレ以外にはシャワーもなかったりするので晩ご飯を食べたら何もすることがなくなるんです。でも、ぼーっと山を眺めているだけでもすごく満たされるし、突然なにかをひらめいたりもする(笑)。今まで、家電も含め想像以上に無駄なモノが多かったように思います。今帰ったら要らないものが家の中にたくさんありそうな気がしますね。
康行:都会は都会で好きなんですけど、自然の中に身を置いている時間が心地よかったですね。

間もなく帰国されますが、今回の旅を振り返ってみていかがだったでしょうか。次はどんな旅に出たいと思いますか。
真理:次はこの旅で出会った友だちをたどる旅をしたいです。いろいろな国を訪れて、たくさんの人たちに会って、いろんな国の人たちと友だちになりました。みんな陽気でおもしろいし、どこに行っても差別的なことは受けませんでした。最初はアジア人以外は怖いなって思っていたんですけど、会って話をしてみるとフレンドリーだし、気にならなくなっていきました。国も人種もいろいろあるけど、そうではなくて人として接することができるようになったのはうれしいです。
康行:日本にいても気の合う人、合わない人がいるように、海外でもそれはあったかもしれません。でもこの国の人だから嫌だということは全くないです。いい人たちにたくさん巡り会って、今までニュースや人づてでしか知らなかった海外のことが身近に体験できて、ためになったことがとても多いです。人に接することにも海外に行くことに対しても壁がなくなったので、日本に帰って、急にアルゼンチンに行かなければならなくなっても、ぜんぜん行けます。
真理:アルゼンチンに行くのも、熊本に行くのも同じ感覚になりましたね(笑)

旅を通じて、自然と寄り添っていくことや時間というもの、人との関わりというものに、これからの暮らしについてを考えていく上での重要なポイントがあるようですね。ありがとうございました。帰国したらまたいろいろお話を聞かせてください。
康行:はい、ぜひ。
真理:たのしみにしています。




LIFE IS JOURNEY
川内康行・真理による世界一周旅行プロジェクトでありwebショップ。2013年5月よりカンボジアを皮切りに、2013年12月現在20カ国以上を巡る。旅をしながら各国の暮らしと人の温もりが伝わる商品を仕入れ販売している。
http://www.lifeisjourney.org/


世界で見つけた、暮らしと旅のお店「LIFE IS JOURNEY!」
場所 / graf(大阪市北区中之島4-1-9 graf studio 1F)
期間 / 開催中
営業時間 / 11:00 - 19:00(ショップ営業時間に準ずる)
月曜日定休、祝日の場合は営業・翌日休
お問い合わせ / mail. shop@graf-d3.com tel. 06-6459-2100

2013.12.21

オリジナルラグ “VIDEO GAME”

足元へのケアが気になる寒い季節にオススメのラグのご紹介です。テキスタイルとファッションのブランド“Spologum”さんにgrafオリジナルのラグをデザインしてもらいました。「VIDEO GAME」と名付けられたこのシリーズは3色展開。最初期のゲーム機のブロック崩しや、バグが出た瞬間のモニターのイメージをシンプルなパターンに納めました。ポリエステル繊維を使用し、耐久性にも優れています。
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Spologum”さんは、野中さんと森さんの2人で活動され、主にイメージを野中さんが、テキスタイルを森さんが担当されています。拠点を2013年から東京に移され、衣類への表現の他、インテリア、アートワークに至る様々なアプローチをしています。
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玄関マット
価格(税込) / ¥8,400
サイズ(mm) / W 620 × D 350

リビングラグ
価格(税込) / ¥73,500
サイズ(mm) /  W 1800 × D 1200(mm)

※リビング仕様は受注生産のため3週間納期頂戴します。
※リビング仕様はサイズオーダーも承れます。
※ graf shop のみのお取り扱いになります。

2013.12.13

冬限定新メニュー&ギフトボックス

めっきり寒くなり、冬もいよいよ本番。そんな季節にあわせて、graf kitchenでは冬限定の焼き菓子とオリジナルギフトボックスをご用意しました。お家でのティータイムや大切な方へのプレゼントにおすすめです。
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シュトーレン

クリスマスシーズンの定番お菓子“シュトーレン”が今年も登場。ラム酒につけたドライいちごやキウイ、レーズンなどをたっぷり練り込み焼き上げました。しっとりした口当たりとほどよい甘さは、飽きのこないおいしさ。クリスマスを待つ時間をさらに楽しくしてくれます。

シュトーレン
価格 / ¥700(税込)
販売期間 / ~12月25日まで ※なくなり次第終了



ゆずのスノーボール

ゆずの香りがたっぷりつまったスノーボール。能勢の無農薬ゆずのピールと手作りジャムを使用しました。口に含むとさらりととける食感と、真っ白のコロコロした見た目はまさに「雪のボール」。ちょっとした手みやげにもぴったりです。

ゆずのスノーボール(5個入)
価格 / ¥250(税込)



graf kitchen特製ギフトボックス

人気商品の“塩バターキャラメルソース”と数種類のオリジナル焼き菓子がつまったギフトボックス。クリスマスプレゼントや年末年始の人に会う機会の多いこの季節の贈り物にもおすすめです。

graf kitchen特製ギフトボックス
価格 / ¥1,500(税込) ~
※10セット以上の購入をご希望の場合は、3日前までにお電話、またはメールにてご連絡ください。
※ご希望の金額や内容にあわせたギフトボックスをご用意することも可能です。詳しくはスタッフまでお問合せください。


< お問合せ >
graf kitchen
tel : 06–6459–2100
mail:shop@graf-d3.com
担当 : 中野 

2013.12.06

インタビュー:みたて農園 立見茂

デザイナーの横山道雄がグラフィックを担当した滋賀県湖北の「みたて農園」。農園を主宰する立見茂さんに、農業のこと、ご自身の農園のこと、デザイナーとの関わりについてお話を伺いました。みたて農園の理念は「おこめのひとまわり」。豊かな自然に恵まれた滋賀県湖北でお聞きしたお話は、立見さんを取り巻くすてきな「ひとまわり」でした。



農業をはじめてどれくらいになりますか。

「みたて農園」という屋号で活動をはじめたのは2011年の9月です。その7年くらい前から 農業はやっていました。高校を卒業して就職して、名古屋、大阪と転々として、滋賀の実家に戻って来たのは26歳のときです。実家は父親の代から農業をやっていて、僕は二代目になるのですが、いろいろと個人的な事情があり実家に戻ってからしばらくはハローワークで仕事を探していました。幼い頃から農業に対してあまりよいイメージを持っていなかったので、農業をやる気はありませんでしたね。

立見さんの持っていた農業のイメージってどういうものでしたか。
毎日たいへんそうな父親を見ているのが子供心に辛かったですね。それと、僕の行っていた中学校には同級生が180人いたのですが、家業として農業をしている家は僕の他にもう一人くらいしかいませんでした。そういう環境で、たまに父親の職業を聞かれたときに農家だということを伝えると「あー、たいへんやねぇ」と言われたりもして、農業は「たいへんなもの」「しんどいもの」「たのしくないもの」ということとして擦り込まれていきました。

農業をはじめるきっかけになったのは何ですか。
ある時、そのもう一人の農家だった同級生が、どうやら農家を継いだらしいという話を人づてで耳にしたんです。その話を聞いて若い人でも農業をやっている人がいることを知り、背中を押された気持ちになりました。僕は実家にいながらもやりたいことがない状態だったので「よし、自分もやるか」と決心して父親に相談しました。幼いころから父親には「農業は継がなくていい」と言われていたのですが「わかった」と言ってくれました。経営者名も僕名義となり、代を譲り受けました。

実際に農業をはじめてみていかがでしたか。
やっぱり幼いころに植え付けられた暗いイメージもあって、自分のしている農業に対する自信はなかったですね。食べていくために仕方なくやっている、やるしかないという思いでやっていたので、胸を張って農家だとはなかなか言えない状態でした。トラクターに乗っている時でさえ、友だちに見られていないかが気になるのでコソコソしていました(笑)。目立たないようにしていましたね。

そんな中、みたて農園をはじめることにしたのはなぜですか。
一番のきっかけは写真家のMOTOKOさんからのひと言があったからです。MOTOKOさんとは、MOTOKOさんが滋賀県の若手農家の取り組みを写真に収めている時期にはじめてお会いしました(田園ドリームプロジェクト)。そのころ僕は湖北ニューファーマーズ(現在の通称はコネファ)という団体の会長をしていたので密に連絡を取っていました。業務的なこと以外にもたくさんいろいろなことをお話をしました。MOTOKOさんは農家も農業も格好よく素晴らしいものだと考えておられたのですが、僕のようにネガティブな考えで農業に勤しむ人がいるということもよく理解されていました。農家っていうのは世間では格好悪いイメージがあるけれども、だからこそ身なりやメール、言葉遣いをきちんと丁寧にすること。それが世間の農家に対する印象を変えるには大切なことなんだよと、全く考えもしなかったことも助言していただきました。ある時、銀座のアップルストアで同じ滋賀で活動する家倉くん(家倉敬和さん)と 石津くん(石津大輔さん)が出演するトークイベントがあって、それを観に行った日の夜にMOTOKOさんと呑む機会があり長い時間お話をしたのですが、その席で「あなたは自分が格好悪いことを農業のせいにしているけど、そうじゃなくて、何もかも農業のせいにして何も努力をしないあなた自身が格好悪いだけだよ」って言われたんですよ。そんなこと言う人は周りにいなかったですから、ハッとして。なるほど、とそのとき思いました。そういわれてみれば、そうだなと。確かになにもかも農業のせいにしてましたから。じゃあ、格好いい男になってやろうとその時にスイッチが入りました。MOTOKOさんに出会っていなかったら、今、僕は相変わらずなにもしていなかったかもしれません。180度変わりましたね、人生観が。すごくありがたいひと言でした。

そういった頃にgrafにデザインの相談をしてくださったんですね。
そうですね。でもなにかをはじめようにもwebも無いし、農園の名前も無く、個人の名刺も、なにもかも無い状態でした。こんな状況で引き受けていただけるかはわからないけど一度聞いてみようと思って相談をさせていただきました。僕はうまく話すのは苦手ですし、あまりハッキリと方向性なども定められないので、服部さん(服部滋樹)や横山さんに何度も話を聞いていただきながら、進むべき道も教えていただいたという感じでした。

デザイナーとのやり取りは立見さんにとってはじめてのことだったと思うのですが、実際にお仕事をしてみていかがでしたか?
全く違う発想をされるんだなって思いましたね。お米というもののイメージだけでロゴやコンセプトをつくるのではなくて、実際にここにも足を運んでいただきましたし。地域のことや環境のことをすごくいろいろと調べていただいて、気にもしていなかった自分にとって身近なことをむしろ僕に教えていただいたこともありました。農園の名前についての案もお願いしていたのですが、横山さんから最初「みたて農園でいこう」って提案されたときには「へっ?みたて?」って(笑)。僕、立見だし「みたて」って名前だとややこしくないかな?って思ったんですけど「湖北で育まれたものを提案する(見立てる)、おもてなしの心を込めている」という意味を説明してくださって納得しました。そんな深い意味があったのか、と。



これがつくっていただいたロゴマークなんですが、雨が降って、川を流れ、田んぼを流れ、琵琶湖に流れ、蒸発して雨が降り注いでという湖北の豊富な水の循環のなかでお米ができてい ることを表現していただいたものです。ここでは琵琶湖を取り巻く水の循環の中でお米ができているわけですけど、それとともにお米を取り巻く人の繋がり、コミュニケーションも大切にしているところを込めたデザインだという説明もいただいて「なるほど、実践しなければ!」って思いました(笑)。横山さんとはいろいろ深いお話をしましたが、そういったことがさりげなく随所にデザインの要素となっているのはうれしいです。うちの商品にある「てんおう米」という名前も、近所の湧き水について調べた横山さんがこの地域に伝わる民話を見つけてくれたことがきっかけになっています。

みたて農園がはじまってから以前とは何か変わりましたか。
お客さんにお米を買っていただいたり農業体験に来ていただいたりして、人が行き来するようになったことで、農園自体の風通しがよくなったと思います。野菜でもなんでも、風通しが悪くなっていくと腐っていくように、これまでの7年間、僕は腐っていたと思うんですよ(笑)。でもそこに人の流れが出来たことで元気をもらっていると感じています。農産物以前に、先ず、つくる人が健全なのかということが僕には重要なことなので、以前と比べたら自分の暮らし方に納得しながらつくったものをお客さまに届けられるようになりました。農家は孤独な作業が多いので、自問自答をしてしまったり行き詰まってくることが多いです。そうならないためにも、なるべく時間が空けば人に会いに行くようにしていますし、来ていただけるのであれば喜んでお会いしたいと思っています。農家だからと言って農業のことだけしか知らないのも勿体ないですし、grafさんと出会うまではデザイン自体に関心を持ったこともありませんでした。いろんな業種の人と関わることが増えてきてよかったと思います。何も知らなかったら薄っぺらい人間になっていたような気がしますね。



立見さんが目指しているものってなんですか。
僕は、日本一うまい米をつくることに必死になって周りが見えなくなってしまうよりも、もっと楽しみながらお米をつくりたいなと考えています。楽しく生きている人間からつくられたお米を皆さんに食べていただきたいです。コネファの活動としても、個人としてもそうですが、田んぼから離れ、出て行った先々で開かれたイベントに人が集まってくれると、自分の職業である農業が評価されているなと実感します。自分たちの仕事を通じてこれだけの人たちに楽しんでもらえていることが、何よりのモチベーションになります。当たり前ですけど、お米を食べてくれた人から「おいしかったよ」って言ってもらえたら、あの人が食べてくれるんだったら頑張ろうって思いますし。こういったことも「風通しがよくなる」ということに通じるものがありますが、人に会うってことは本当にすごく大事ですね。まあ、でもこれからですね。

素敵な話を聞くことが出来てうれしいです。
とんでもないです。こちらこそ、ありがとうございました。



立見茂(たてみしげる)
米農家。滋賀県湖北の地で育まれたモノ・コト・ヒトをお見立てしたいという想いを込めて「みたて農園」と名付け、山々に囲まれた湖北が誇る豊かな水源のメグミをいただき、農薬・化学肥料の使用を最小限におさえたお米作りを実践中。
http://www.mitate-nouen.jp/

Shop&Kitchen

OPEN / 11:00 - 19:00
定休日/ 月曜日(祝日の場合は翌日休)
大阪市北区中之島4-1-9 graf studio 1F
お問い合せ
tel. 06-6459-2100
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