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11月26日(火)〜12月15日(日)の期間中、graf shopでは栃木県・益子にて作陶をされている伊藤丈浩さんの器を一堂にご覧いただける展示販売を行います。
今回の展示では繊細かつ大胆な模様が人気の【スリップウェア】や、熱湯で溶かした重曹(ソーダ)を窯に投入する事により生まれる独特な斑模様と艶が特徴的な【ソーダ釉】、泥で布に模様を描き、陶土へ転写する技法を用いた【トランスウェア】など、様々な手法で制作された伊藤丈浩さんの器をご覧いただけます。
◼︎陶器の産地・益子
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栃木県南東部に位置する芳賀郡の町、益子(ましこ)。江戸時代末期から陶器の産地となり、昭和期の濱田庄司の活動により著名になった「益子焼」で多くの方に知られています。駅前には大きな陶器の壺が置かれている事からも、その旨が伺えますね。ひとたび車を走らせればのどかな風景が広がる自然豊かな町です。伊藤さんはこちらに工房を構えられ、のびのびと制作をされています。
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工房前には絵付けを終え乾燥中の器がずらり。工房内には道具や焼成後の器が綺麗に整頓され、整然とした工房には緻密な絵柄を描く伊藤さんの繊細さが伺えます。こちらの工房で制作されている器は主に3種類。それぞれのシリーズについてご紹介します。
◼︎スリップウェア
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「スリップ」とは、粘土と水を混ぜ合わせた泥漿(でいしょう)や化粧土を意味します。伊藤さんのスリップウェアは板状にした平らな土に絞り筒や櫛などを用いて曲線模様を加飾した後、石膏型に押し当て成形されています。絵柄の種類は、エキゾチックさを感じる大胆なものから細かく繊細な佇まいのものまで多岐に渡ります。温かみを感じる色味と模様は、卓上のアクセントとなり食卓の風景を彩ります。
◼︎ソーダ釉
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炎が噴き出る窯の中に熱湯で溶かした重曹(炭酸ナトリウム)を噴霧し続ける事で、土の成分と化学反応し器の肌にガラス質の釉が生じます。表面に現れる、水滴や柚子肌を思わせる艶のある斑模様はソーダ釉の特徴とも言えます。
またこちらのシリーズは独特な陶肌の表情に加え、印象的なシルエットや繊細な色使いにも目を惹かれます。轆轤挽きで成形された安定感のある本体とは対照的に複雑な加飾のハンドルは、鋳込成形で作られているそう。ハンドルのデザインや色の組み合わせも様々なので、異なる個性を選べる楽しさもあるのが嬉しいです。
今回の展示では、マグの他に花器や植木鉢もお持ちいただく予定です。
◼︎トランスウェア
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2020年より新たな試みとして始められたトランスウェアシリーズ。その名称は「転ずる=transfer」から付けられたそう。注射針ほどの細いノズルから泥を出して布に模様を描き、陶土に転写するという技法で作られています。曲線や直線が重なる部分に異なる色味の釉薬を用いる事で生まれる、特有の幾何学模様やコントラストの美しさが魅力です。マットな表情のものもあったりと、伊藤さんのこれまでの作品とはまた違った個性が感じられるシリーズとなっています。
◼︎スリップウェア体験ワークショップ
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11月30日(土)・12月1日(日)の2日間は伊藤さんが益子からお越しくださり、関西方面では初となるスリップウェアを体験できるワークショップも開催します。今回のワークショップでは陶土に泥でお好きな模様を描き、7寸もしくは8寸のやや深さのある丸い器をお作りいただけます。余った時間には小皿の追加制作も準備しています。
お一人はもちろんご友人やお子様と一緒にご家族でもご参加いただけるので、ぜひお誘い合わせの上お申し込みください。
また、伊藤さんが在廊される2日間はワークシップの様子を見学できるよう、graf porchを開放しますのでぜひお気軽にお立ち寄りください。(その際はワークショップに参加者のご迷惑にならないようご配慮をお願いします)
◼︎伊藤丈浩展 開催概要
・日程|2024年11月26日(火) − 12月15日(日)
・店休|12月2日(月)・9日(月)
・時間|11:30−18:00
・場所|graf shop(大阪市北区中之島4-1-9 graf studio 1F)
・お問合せ|shop@graf-d3.com / 06-6459-2100 (担当:北尾)
■スリップウェア体験ワークショップ 開催概要
・日程|2024年11月30日(土)・12月1日(日)
・時間|各日 ①10:00-12:00 ②13:00‐15:00 ③16:00-18:00
・定員|各回 12名 (先着順)
・参加費|7寸皿 税込8,800円・8寸皿 税込11,000円より選択可能(材料費・講師代含む)
・制作物|7寸皿 (size : Φ230 H35 mm)・8寸皿 (size : Φ280 H50 mm)
・開催地|graf porch(大阪市北区中之島4-1-9 graf studio 2階)
・対象年齢|小学生以上(小学生以下のお子様は保護者同伴必須)
・作業内容|泥を用いての絵付け(その後の成形は伊藤さんが行います)
・お問合せ|shop@graf-d3.com / 06-6459-2100 (担当:北尾)
・持ち物・服装|汚れてもいい服装。またはエプロンをご持参ください。
・申し込み|こちらのページからお申し込みください。
※【11月9日(土)昼12時より】お申し込み(カートへの追加)が可能となります。
■注意事項
・成形・焼成の都合上、完成までに1ヶ月程お時間を頂きます。
・受付は開始15分前よりgraf porchにて行います。直接会場へお越し下さい。
・完成品は店頭受け取り、もしくは送料を頂戴しての郵送対応が可能です。
(期日までの来店がなかった場合は送料着払いにて郵送致します)
・郵送を希望する方は受付時にその旨をスタッフへお伝えください。
小皿の追加制作分とまとめて、WS後にgraf shopにてお支払いをお願いします。
・陶土や釉薬の色味の指定はいただけません。
・お席の都合上、6名ずつ絵付けを行う回転制となります。
・伊藤さんのご意向により参加者以外の会場見学も可としています。予めご了承下さい。
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伊藤 丈浩 (いとう たけひろ)
1977年千葉県銚子市生まれ。21歳から焼き物を始め、栃木県・益子町の製陶所で勤め2002年に渡米。陶芸家を訪ねて旅をし、帰国後日本の窯業地を巡り見聞を広め、益子へ戻り工房を構え独立。作家活動を行う。
17~19世紀にかけイギリスで用いられたスリップウェアという泥状の化粧土で模様を描く技法を用いた代名詞的な器に加え、様々な技法を用いた作品を発表し続けている。日常使いし易くモダンで温かみのある器は、男女問わず多くのファンに愛されています。