かつて小豆島では、農村歌舞伎を鑑賞するときや季節の祭りなどにわりご弁当が登場した。現在ではめったに使われなくなったこのカタチを私たちが残していくことで、大切な文化を後世に繋ぐお手伝いができるのではないか。わりご弁当の修理・修繕を通じて、これからのコミュニティや家族、友人たちとの関係を考えていきたい。 制作 / 伊藤 栄紀(graf labo)福川 加奈子(設計)
わりご弁当とは 小豆島の農村歌舞伎を鑑賞する際に使われるお弁当のことで、古いものは160年以上も前のものが確認されている。岡持のような大箱に約20〜30人前のお弁当が入り、お箸や小皿、おかずを入れるための引き出しがついている。歌舞伎座の棟梁や指物大工が製作していたので、カタチや大きさは様々である。現代では農村歌舞伎座の減少により一部の地域でしか使われていない。
いろいろな修理 修理するわりご弁当をより使いやすくしたいという要望を受けて提案した事例。
平均的な形状と仕様で再現した。わりご弁当には特に定まった企画があるわけではない。 素材 / ヒノキ(ウレタン塗装仕上げ)、綿ロープ
島民の方から預かったわりご弁当。傷んだ箇所の補修をしながら構造や仕様を検証した。